会計課、不審に思い確認 8500万円盗難の広島県警(日経より)

広島中央署盗難、内部犯行か 会計課、不審に思い確認 (日本経済新聞)

広島中央警察署内で、詐欺事件の証拠物である現金が盗まれたとの記事。

広島県警広島中央署で現金約8500万円が盗まれた事件で、会計課の担当者が不審に思い、本来点検すべき生活安全課に代わって金庫を確認し、現金の紛失に初めて気付いたことが11日、分かった。金庫の鍵は署員が管理しており、県警は内部の犯行との見方を強めている。

 捜査関係者によると、現金は詐欺事件の証拠品で、捜査を担当していた生活安全課が月1回、金庫を点検していた。8日の通常業務終了後に会計課が急きょ確認すると、なくなっていたという。

 県警によると、家宅捜索先で2月までに押収し、金庫内で他の金と混ざらないよう、容器などに小分けにして管理。高額のため、署長の判断で生活安全課ではなく会計課の金庫で保管していた。

 会計課は1階の一番奥にあり、平日の勤務時間以外は施錠されていた。鍵は当直の職員らが管理し、必要に応じて署員に貸し出していた。」

平日の勤務時間が大半でしょうが、施錠していなかったようです。

平日でも、会議や昼食など、人がいなくなる機会はいくらでもあったでしょう。

現金・現金同等物管理の観点からは、金庫は常に施錠されており、経理でも出納や印紙・切手の担当者しか開錠できないことが基本でしょう。

開け放し、まして必要に応じ鍵を貸与するなど考えられません。

当然ながら、内部の犯行を疑っているようです。

広島中央署盗難、内部犯行か 会計課、不審に思い確認 (西日本新聞)

東芝と米WD対立にみる企業分析(産経より)

東芝、米ウエスタン・デジタルを閉め出しか 三重の半導体工場、対抗措置で (産経)

東芝がメモリー事業売却を巡り共同投資者の米ウエスタン・デジタル(WD)と対立しており、WDに対抗措置を取る見込みとの記事。

「経営再建中の東芝が、三重県四日市市半導体工場に共同投資する米ウエスタン・デジタル(WD)に対し、半導体子会社の売却を認めない場合は15日以降に関連する従業員を工場から閉め出すなどの対抗措置を取る方針を伝えたことが13日、分かった。WDが子会社売却に反対姿勢を崩さないためで亀裂は決定的。東芝とWDとの通信設備を一時的に切断し、断絶状態になる見通しだ。」

東芝とWDの間の契約では、原則、双方の同意なしに第三者へ持分を移転することはできないこととなっているようです。

但し、東芝は、契約上の「買収による支配権の変更に伴い、結果的に支配権が移転する場合は例外」との例外を根拠に売却の正当性を主張しています。

契約書文言の解釈こそ、読む会社や都合によって流動的です。

普通、双方で一致した見解を持った上で実際の動きがあるべきですが、WD以前に提携していたサンディスク(SD)がWDに買収された際、合意を求められていない事例が東芝の主張を裏づけています。

実際に同様の事例があるのでは、単に「第三者への同意ない売却は契約違反」とのWDの主張は根拠薄弱ではないでしょうか。

売却の流れは 東芝東芝メモリ(分社化) → 第三者 が予定されていますが、分社化の時点でWDは反対を示しています。

分社化は運営実態が変わるわけではないでしょうから、単なる社内手続きとして完結することでしょう。

東芝とWDの対立内容についてはこちらの記事が詳しいです。

東芝とWD、メモリー事業売却で対立する「支配権の変更」 (日刊工業)

記事にもありますが、支配権移転の例外条項は、元々、共同投資者が戦略撤退を可能にする為のもので、それを東芝が逆手に取っている状況なのでしょう。

東電再建計画にみる企業分析(産経より)

東電の再建計画 料金下げの使命も果たせ (産経)

東電が他社との再編・統合を基調とした経営再建計画を打ち出したとの記事。

電気料金の値下げについても言及されています。

東京電力は新たな再建計画に基づき、原子力や送配電事業などで他社と再編・統合を進め、収益力を高めるという。

 福島第1原発事故の処理費用を賄うためだ。

 経営改革を通じて収益基盤を強化する方向性は正しい。だが、国内最大の電力事業者として、高止まりする電気料金の引き下げに努めることを忘れてはならない。

 それは、電力の安定供給と並び、同社に課せられた使命だ。その実現には、運転が長期にわたって停止している柏崎刈羽原発の早期再稼働が欠かせない。

 東電は来月、経営陣を一新して持ち株会社の会長に日立製作所の川村隆名誉会長を起用する。東電の新社長には電力小売り子会社の小早川智明社長が就く。川村氏には、日本を代表する企業を復活させた手腕をみせてほしい。

 福島原発事故の賠償や除染、廃炉などの費用は、総額で22兆円にのぼる。巨額費用を捻出するため、年4500億円を安定的に稼ぎ出す体質を目標に掲げた。現在は年3000億円であり、大幅な底上げを必要とする。」

再編・統合というワードは、耳障りは良いのですが、耳障りと実現可能性は別次元の話です。

あくまで計画ですが、打ち出した以上、実現する責任があるということです。

東芝もそうですが、計画や見通しといった言葉が軽々しく使われている印象を受けます。

他電力会社との再編・統合が経営成績の安定化、財務健全化にとって手っ取り早いのは分かりますが、本当にそれ以外打つ手がないのでしょうか。

記事にもありますが、民間企業との提携や共同プロジェクト立上げ等、選択肢はむしろ他にあると思います。

「他の電力会社との再編・統合といっても、福島関連費用の負担増を警戒する東北電力など、他社は慎重な姿勢だ。政府には「再編ありき」の姿勢もみられるが、それで経営改革は達成できまい。民間の活力を引き出す提携こそ検討すべきである。

 東電が取り組むべき課題は山積している。昨年4月の電力自由化で1割以上の顧客が他電力に流れている。最大の要因は料金の高さにある。顧客を引き留め、日本の産業競争力を維持するためにも料金引き下げが肝要だ。

 収益力を高めながら料金を値下げするには、7基ある柏崎刈羽原発の再稼働を急がねばならない。再建計画でも、平成31年度中にも2基を再稼働する方針を盛り込んだが、その通りに運転を再開できるメドは立っていない。

 新潟県米山隆一知事は「福島事故の検証をしない限り、再稼働は認められない」と繰り返している。政府は再稼働を東電任せにせず、新潟県への働きかけを強めるべきだ。

 これまで、東電内部では経営路線をめぐる対立も目立っていた。川村氏は現場を含めて社内の結束を図り、再建に全力を尽くしてもらいたい。」

当然ながら、電力の安定供給という社会的使命も果たす必要があります。

東芝、'17年3月の監査法人変更を断念(日経より)

東芝監査法人変更を断念 17年3月期決算 (日本経済新聞)

東芝が当期(2017年3月期)での監査法人交代を断念し、意見不表明のまま決算発表予定との記事。

「経営再建中の東芝は、近く発表する2017年3月期決算について、監査法人の変更を断念した。PwCあらた監査法人米原子力事業の損失計上時期などを巡り意見が対立しており、準大手の監査法人への変更を検討したが、すぐには後任が見つからなかった。18年3月期については、引き続き後任探しを続ける。

東芝は、当初2月に発表予定だった16年4~12月期決算の発表を2度延期。4月11日に同決算を発表したが、PwCあらたからは「決算内容は適正」との意見を得られないままの発表を余儀なくされた。

その後も意見の隔たりは埋まらず、17年3月期で準大手の監査法人に変更して「適正」意見を得ることを検討したが、公表期限が迫っていることを考慮して断念した。

 関係者によると東芝は15日、17年3月期決算の短信を公表する予定。監査意見なしの「見切り発車」での発表に追い込まれる公算が大きく東京証券取引所による東芝の上場審査にも影響を及ぼす可能性がある。」

東芝のような規模の会社で、決算日後に監査法人を変えることなどできないことは分かっていたはずです。

Pwcあらたから適正意見を引き出す為、脅しの意味があったのでしょうか。

そうだとすれば、センスに欠けた対応と言わざるをえないでしょう。

守秘義務により、Pwcあらたの考え方は分からないことが残念です。

来期(2018年3月期)からの監査法人変更を検討しているようです。

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東芝監査法人交代 太陽のチャンスと責務

東芝監査法人Pwcあらた-監査作業から一時離脱(時事通信より)

東芝監査、会計士が一時離脱=対立深刻、4月に異常事態 (時事通信)

東芝の現任監査法人であるPwcあらたの会計士が4月に監査作業から外れ、東芝の監査手続きが停滞していたとの記事。

東芝の決算監査を担当するPwCあらた監査法人の会計士が4月に監査作業から一時離脱していたことが12日、明らかになった。東芝米原発子会社の会計処理をめぐる深刻な対立を示す異常事態。PwCから「適正」との監査意見を得られないまま、東芝が4月11日に2016年4~12月期決算を発表した直後に離脱しており、17年3月期の通期決算の確定の遅れにつながっている。

 4月は17年3月期決算の監査作業が最も忙しい時期とされる。関係筋によると、「担当会計士が作業から事実上離脱し、監査が一時ストップした」といい、東芝監査法人の変更を検討する要因の一つになったとみられる。離脱は5月まで数週間続き、グループ企業の監査にも影響が及んだという。監査作業は再開されているが、終了のめどは付いていない。

 監査制度の専門家からは「監査契約が解除されていない状態で、適切な行動だったのか検証が必要」と対応を疑問視する声も出ている。PwCは「(守秘義務がある)監査法人の立場上、顧客への対応についてコメントできない」(広報担当者)と説明している。

 東芝とPwCは、米原発子会社ウェスチングハウスの巨額損失をめぐる調査で意見が対立。4~12月期決算はPwCが決算数値の適否の見解を示さない「結論不表明」となった。

東芝は15日に取締役会を開き、17年3月期決算について協議する方針だ。東証など関係先とも調整し、理解を得られれば、監査承認を得ていない暫定的な数値を決算として発表したい考え。綱川智社長が記者会見し、業績や監査の状況を説明する方向で、PwCにも決算をめぐる混乱の説明責任が求められそうだ。」

ウェスチングハウス(WH)の損失認識時期を巡る意見対立で平行線を辿り、監査が進まなかっただけでは。

それとも、それとは別途、会計士が勝手に監査手続きの進行をストップした、とでも言いたいのでしょうか。

監査法人と意見対立、軋轢を生じている時点でセンスがないです。

いずれにしても、翌期から監査法人を変更する方針のようなので、東芝の経営陣としては、当期は何とかしのげればよいのでしょう。

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東芝監査法人交代 太陽のチャンスと責務

残業と働き方(エイベックス未払残業代の認識にみる 朝日より)

エイベックス、未払い残業代に10億円計上 3月期決算 (朝日)

エイベックスが2017年3月期決算で、未払残業代見合いの費用(未払金)を認識したとの記事。

「グループで働くすべての正社員や契約社員など計約1500人を対象に、昨年6月中旬から今年1月中旬までの勤務状況を調べたところ、約半数で未払いが判明したという。この間の未払い分の総額は7億円程度にのぼったという。対象の従業員に5月末までに支払う。さらに、今年1月中旬以降に発生した未払い分も3月期決算に計上した。

 労働時間を正確に把握して再発防止につなげるため、パソコンのオン・オフの記録で労働時間を管理する従来の運用を改め、従業員が自ら労働時間を報告する仕組みを導入することも明らかにした。裁量労働制の導入も検討するという。」

PCのオン、オフ時間の管理では、言い訳できない明確な履歴が残ってしまうから、ということでしょうか。

そう考えると、申告制度・裁量労働制度を採用し、あくまで従業員個人の責任で残業を運用させたいようです。

申告制度では、事前申告が原則でしょう。

自己申告はいいのですが、事後申告、過少申告が横行しそうな気がします。

PCのオン、オフログはいずれにしても残るでしょうし、後にありえる労働局の調査で問題となってしまっては意味がないでしょう。

格差と働き方(G7日銀総裁のコメントに見る 産経より)

G7財務相会議開幕 格差是正を議論 日米が為替で意見交換へ (産経)

G7で、日本は働き方改革を説明するとの記事。

働き方改革についての過去記事。 ディーセント・ワークという選択肢

「日米欧の先進7カ国(G7財務相中央銀行総裁会議が12日、イタリア南部バリで開幕した。議長国のイタリアは保護主義反グローバリズムの高まりの一因とされる格差問題を主要テーマに位置付けており、各国が政策対応などを議論。麻生太郎財務相は米国のムニューシン財務長官と会談し、為替政策などについて意見交換する。

 欧米でポピュリズム大衆迎合政治)や保護主義の動きが強まる背景に、所得格差の拡大や若者の失業率の上昇が指摘される。技術革新やグローバリズムなどの恩恵を受けられない国民の不満が英国の欧州連合(EU)離脱などにつながったとの見方は根強い。

政治の不安定化は世界経済のリスクになっており、会合では財政政策や構造改革など格差の是正に向けた方策を議論する。日本からは麻生財務相黒田東彦(はるひこ)日銀総裁が出席し、女性の労働を後押しする「働き方改革」などを説明する見込みだ。

黒田総裁は会合を前に、記者団に対し「先進国と途上国の所得格差は縮んでいるが、国の中をみると格差は拡大している。放置すると経済的にも大きな問題をひきおこす可能性がある」と述べた。」

記事をそのまま読むと、マクロ経済的な問題がなければ所得格差は放置してもよい、とも聞こえます。

限度はあるものの、差、そのものはあってしかるべきだと思います。一人ひとりの人間が都度、選択と意思決定を積み重ねた結果ではないでしょうか。

それにしても、所得格差だけに焦点をあて、ミクロ的観点で対策することは困難ではないでしょうか。

補助金など再配分政策も、悪用される可能性が高いだけです。

格差は競争構造をベースにした経済拡張方針の結果として生まれた負の側面です。

根本的な構図が格差を生むインセンティブを内包している限り格差是正は難しく、根本構造に影響を与えるような対策でなければ無意味でしょう。

経済指標にも言及しています。 黒田日銀総裁「成長率のわりに物価上がらず」 (日本経済新聞)

「日銀の黒田東彦総裁は12日、足元の世界経済について「順調に回復し、成長率を高めている。日本経済にもプラスの影響を与えている」と述べた。7カ国(G7財務相中央銀行総裁会議に出席するため訪問中のイタリアで記者団の質問に答えた。

 日本経済については「成長率が潜在成長率をかなり上回って推移している。需給ギャップが改善し、賃金・物価にも好ましい影響を今後与えていくだろう」と述べた。成長率のわりには「これまでのところ、物価がややゆっくりとしか上がっていない」と語り、会議のなかで具体的に説明する考えも示した。

 G7議長国のイタリアが主要議題に掲げる所得格差の拡大への対応に関しては「技術革新を進め、自由貿易を維持するなかで(経済の)パイを大きくして、再分配や弱者に対する保護を充実していく」と指摘。「技術革新を止めるとか保護主義は問題解決にならない」と強調した。」

内部留保を伸ばす企業と、個人では景況感に大きなギャップがあると思います。

企業の内部留保が過去最高、給与に回らず春闘も期待薄 (ロイター)