格差と働き方(G7日銀総裁のコメントに見る 産経より)

G7財務相会議開幕 格差是正を議論 日米が為替で意見交換へ (産経)

G7で、日本は働き方改革を説明するとの記事。

働き方改革についての過去記事。 ディーセント・ワークという選択肢

「日米欧の先進7カ国(G7財務相中央銀行総裁会議が12日、イタリア南部バリで開幕した。議長国のイタリアは保護主義反グローバリズムの高まりの一因とされる格差問題を主要テーマに位置付けており、各国が政策対応などを議論。麻生太郎財務相は米国のムニューシン財務長官と会談し、為替政策などについて意見交換する。

 欧米でポピュリズム大衆迎合政治)や保護主義の動きが強まる背景に、所得格差の拡大や若者の失業率の上昇が指摘される。技術革新やグローバリズムなどの恩恵を受けられない国民の不満が英国の欧州連合(EU)離脱などにつながったとの見方は根強い。

政治の不安定化は世界経済のリスクになっており、会合では財政政策や構造改革など格差の是正に向けた方策を議論する。日本からは麻生財務相黒田東彦(はるひこ)日銀総裁が出席し、女性の労働を後押しする「働き方改革」などを説明する見込みだ。

黒田総裁は会合を前に、記者団に対し「先進国と途上国の所得格差は縮んでいるが、国の中をみると格差は拡大している。放置すると経済的にも大きな問題をひきおこす可能性がある」と述べた。」

記事をそのまま読むと、マクロ経済的な問題がなければ所得格差は放置してもよい、とも聞こえます。

限度はあるものの、差、そのものはあってしかるべきだと思います。一人ひとりの人間が都度、選択と意思決定を積み重ねた結果ではないでしょうか。

それにしても、所得格差だけに焦点をあて、ミクロ的観点で対策することは困難ではないでしょうか。

補助金など再配分政策も、悪用される可能性が高いだけです。

格差は競争構造をベースにした経済拡張方針の結果として生まれた負の側面です。

根本的な構図が格差を生むインセンティブを内包している限り格差是正は難しく、根本構造に影響を与えるような対策でなければ無意味でしょう。

経済指標にも言及しています。 黒田日銀総裁「成長率のわりに物価上がらず」 (日本経済新聞)

「日銀の黒田東彦総裁は12日、足元の世界経済について「順調に回復し、成長率を高めている。日本経済にもプラスの影響を与えている」と述べた。7カ国(G7財務相中央銀行総裁会議に出席するため訪問中のイタリアで記者団の質問に答えた。

 日本経済については「成長率が潜在成長率をかなり上回って推移している。需給ギャップが改善し、賃金・物価にも好ましい影響を今後与えていくだろう」と述べた。成長率のわりには「これまでのところ、物価がややゆっくりとしか上がっていない」と語り、会議のなかで具体的に説明する考えも示した。

 G7議長国のイタリアが主要議題に掲げる所得格差の拡大への対応に関しては「技術革新を進め、自由貿易を維持するなかで(経済の)パイを大きくして、再分配や弱者に対する保護を充実していく」と指摘。「技術革新を止めるとか保護主義は問題解決にならない」と強調した。」

内部留保を伸ばす企業と、個人では景況感に大きなギャップがあると思います。

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