東電再建計画にみる企業分析(産経より)

東電の再建計画 料金下げの使命も果たせ (産経)

東電が他社との再編・統合を基調とした経営再建計画を打ち出したとの記事。

電気料金の値下げについても言及されています。

東京電力は新たな再建計画に基づき、原子力や送配電事業などで他社と再編・統合を進め、収益力を高めるという。

 福島第1原発事故の処理費用を賄うためだ。

 経営改革を通じて収益基盤を強化する方向性は正しい。だが、国内最大の電力事業者として、高止まりする電気料金の引き下げに努めることを忘れてはならない。

 それは、電力の安定供給と並び、同社に課せられた使命だ。その実現には、運転が長期にわたって停止している柏崎刈羽原発の早期再稼働が欠かせない。

 東電は来月、経営陣を一新して持ち株会社の会長に日立製作所の川村隆名誉会長を起用する。東電の新社長には電力小売り子会社の小早川智明社長が就く。川村氏には、日本を代表する企業を復活させた手腕をみせてほしい。

 福島原発事故の賠償や除染、廃炉などの費用は、総額で22兆円にのぼる。巨額費用を捻出するため、年4500億円を安定的に稼ぎ出す体質を目標に掲げた。現在は年3000億円であり、大幅な底上げを必要とする。」

再編・統合というワードは、耳障りは良いのですが、耳障りと実現可能性は別次元の話です。

あくまで計画ですが、打ち出した以上、実現する責任があるということです。

東芝もそうですが、計画や見通しといった言葉が軽々しく使われている印象を受けます。

他電力会社との再編・統合が経営成績の安定化、財務健全化にとって手っ取り早いのは分かりますが、本当にそれ以外打つ手がないのでしょうか。

記事にもありますが、民間企業との提携や共同プロジェクト立上げ等、選択肢はむしろ他にあると思います。

「他の電力会社との再編・統合といっても、福島関連費用の負担増を警戒する東北電力など、他社は慎重な姿勢だ。政府には「再編ありき」の姿勢もみられるが、それで経営改革は達成できまい。民間の活力を引き出す提携こそ検討すべきである。

 東電が取り組むべき課題は山積している。昨年4月の電力自由化で1割以上の顧客が他電力に流れている。最大の要因は料金の高さにある。顧客を引き留め、日本の産業競争力を維持するためにも料金引き下げが肝要だ。

 収益力を高めながら料金を値下げするには、7基ある柏崎刈羽原発の再稼働を急がねばならない。再建計画でも、平成31年度中にも2基を再稼働する方針を盛り込んだが、その通りに運転を再開できるメドは立っていない。

 新潟県米山隆一知事は「福島事故の検証をしない限り、再稼働は認められない」と繰り返している。政府は再稼働を東電任せにせず、新潟県への働きかけを強めるべきだ。

 これまで、東電内部では経営路線をめぐる対立も目立っていた。川村氏は現場を含めて社内の結束を図り、再建に全力を尽くしてもらいたい。」

当然ながら、電力の安定供給という社会的使命も果たす必要があります。