東芝と米WD対立にみる企業分析(産経より)
東芝、米ウエスタン・デジタルを閉め出しか 三重の半導体工場、対抗措置で (産経)
東芝がメモリー事業売却を巡り共同投資者の米ウエスタン・デジタル(WD)と対立しており、WDに対抗措置を取る見込みとの記事。
「経営再建中の東芝が、三重県四日市市の半導体工場に共同投資する米ウエスタン・デジタル(WD)に対し、半導体子会社の売却を認めない場合は15日以降に関連する従業員を工場から閉め出すなどの対抗措置を取る方針を伝えたことが13日、分かった。WDが子会社売却に反対姿勢を崩さないためで亀裂は決定的。東芝とWDとの通信設備を一時的に切断し、断絶状態になる見通しだ。」
東芝とWDの間の契約では、原則、双方の同意なしに第三者へ持分を移転することはできないこととなっているようです。
但し、東芝は、契約上の「買収による支配権の変更に伴い、結果的に支配権が移転する場合は例外」との例外を根拠に売却の正当性を主張しています。
契約書文言の解釈こそ、読む会社や都合によって流動的です。
普通、双方で一致した見解を持った上で実際の動きがあるべきですが、WD以前に提携していたサンディスク(SD)がWDに買収された際、合意を求められていない事例が東芝の主張を裏づけています。
実際に同様の事例があるのでは、単に「第三者への同意ない売却は契約違反」とのWDの主張は根拠薄弱ではないでしょうか。
売却の流れは 東芝 → 東芝メモリ(分社化) → 第三者 が予定されていますが、分社化の時点でWDは反対を示しています。
分社化は運営実態が変わるわけではないでしょうから、単なる社内手続きとして完結することでしょう。
東芝とWDの対立内容についてはこちらの記事が詳しいです。
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東芝とWD、メモリー事業売却で対立する「支配権の変更」 (日刊工業)
記事にもありますが、支配権移転の例外条項は、元々、共同投資者が戦略撤退を可能にする為のもので、それを東芝が逆手に取っている状況なのでしょう。