低金利にあえぐ地方銀行経営-業界分析(産経 他より)
地方銀行の経営が低金利のあおりをうけ厳しくなっているとの記事。
株式など国債以外の有価証券投資、与信リスクのない自治体への貸出を伸ばしているようです。
「九州・山口8県の地方銀行の平成29年3月期決算が12日、出そろった。日銀のマイナス金利政策の影響を通年で受け、21銀行のうち13銀行が減収減益だった。本業のもうけを示すコア業務純益も、ほぼすべての銀行が前期比マイナスだった。収益基盤に大きな打撃を受けた各銀行は、生き残り策を模索する。」
「第一に貸出金利の低下だ。しかもマイナス金利の長期化が想定される中で、過去に実行した比較的高い金利の融資が、新たな低利融資に徐々に置き換わる。利息収入は将来にわたって減少が見込まれる。
また、国債を中心とする市場運用も、戦略の練り直しを迫られた。金利低下の中で、市場で取引される国債価格は上昇傾向にある。新たに国債を購入する場合、「高値づかみ」の恐れがある。「やみくもに運用すればマイナスをつかまされる」(西日本FHの谷川氏)状況だ。
十八銀行は国債への投資を抑制した。この結果、有価証券の保有残高がこの1年で約1千億円、減少した。西日本FHやふくおかフィナンシャルグループ(FG)の決算数字からも、同様の傾向が見られた。」
「融資、運用ともに環境が厳しい中、行き場を失ったカネはどこへ向かったのか。一つの答えが地方自治体だった。
九州・山口の地銀の多くが、自治体向け融資を増やした。例えば、十八銀行はは28年度中、自治体向け融資を441億円増やした。前年度に比べ17%のプラスだ。同じ期間に増加した貸出金全体(629億円)の7割にあたる。半面、企業向けなど事業性融資は、ほぼ横ばいだった。
ふくおかFGの傘下3銀行も、自治体向け融資が計842億円増加した。対前年度の伸び率は7・2%だった。」
こちらは中部地方の地銀の決算に関する記事。
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